II.「現代」と向きあう決意・覚悟はできていますか
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1.「地方分権」という課題
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1)<中央集権>から派生する課題 |
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2)<地方自治>の役割
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- 地域経済を成長させ利用可能な資源の拡大/シビル・オプティマム(市民的最適)
- 住民ニーズの表明誘導(情報の公開)
- 住民ニーズに合った地域づくり計画と政策形成(社会問題の認識)
- 政策効果の測定と政策への反映(フォローアップとフィードバック)
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3)住民と住民運動・・・議会制民主主義との葛藤とフォロー
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- 住民投票
- 阪神・淡路大震災を契機として*「特定非営利活動促進法(NPO法):1998」(経済企画庁の認証によって簡便 に法人 格を与えることを目的とした法律)*「被災者生活再建支援法(1998)」(国民全体の災害共済)
- オンブズマンと情報公開する責任(アカウンタビリティー)情報公開法の制定(99.5.7.)
- 地方分権一括法<地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律>
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神野(1996)「分権はなぜいま必要か」(『世界』 1996.8.) 「国から地方へ」という地方分権と「官から民へ」という規制緩和とが中央集権型行財政システムを変革する車の両輪としながら、人間を変え、社会を変えるためには、身近な政府を実際に作り、自己の行動がコミュニティー全体のあり方といかに結びついているかを知ることが重要である。それには人々が負担とサービスとの関係を実感し、そのあり方を自ら選択できる状態を作ることが不可欠である。 地方分権による自律的な地方自治体の創設こそ、そのような社会を作る最善で、おそらく唯一の方法である。地方分権下の社会では、市民は自律的で自己統制能力をもった存在であり、差別意識をもたず、すべての人々の人格を尊重し、自己実現をめざす。そのような人々が構成する社会は、自己実現の機会を閉ざされることのないバリア・フリーな社会であり、彼らの行動が正に下からの公共性を作り上げていく「カウンター・パートナー」として社会政策に果敢にコミットするオルタナティブとして正に草の根からの公共性を作り上げていく主体である。
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2.「人権」という課題
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- 社会的有効性(effectiveness)・・・制限のある社会資源の再配分
- 公平(equity)・・・貢献原則<応能原則>(努力が報われる社会)
- 公正(justice) ・・・一定の保障/公正原則→必要原則<福祉政策固有の原理>
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- 公正原則による<社会正義>と意図せざる結果→積極的差別撤廃措置(affirmative action)←64年に米国で成立した公民権法を基礎
- 人種別の割当て枠(クウォータ:quota)→教育機関・労働
- 白人の下層労働者(poorwhite )から逆差別との反発
- モラルハザード(moral-hazard):道徳・倫理観の荒廃
- ポピュリズム(大衆迎合政治)とデマゴーグ(権力・権威への反抗姿勢情緒的ナショナリズム・生活危機に遭遇している人 の切り捨て)の台頭
- 民族紛争・宗教紛争
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3)差別と公正に関するジレンマ
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- 偏見の心理(The Nature of Prejudice)」(Allport,G.W.(1961) 「われわれの当面する問題は、寛容への歩みが続くか、それとも世界の諸所に見あたるような致命的逆行に入ってしまうかということである。全世界が人間関係での民主的理想が生き残れるかどうかを見守っている。市民は仲間を犠牲にするのではなく、協調しながら自らの福祉と成長とを求められるようになりうるのか。人間家族はその答えをまだ知らないのであるが、願わくば肯定的であってほしい。」
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3.「社会問題」という課題
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- 生活危機と社会問題
- 社会変動/公共空間の変動
- 自成的変動(ongoing process) ・・・当該社会の必然として予測可能あるいは確率論的に発生する自然な変動
- 社会計画(social planning) ・・・社会が変動に対応して合目的的・問題解決志向的に社会の自己生産や自己変革を行うための計画化された変動
- 突発的な変動(unexpected process)・・・突発的な制御不能や計画自体の破綻による社会の機能要件の低下 *構造変化指標<少子高齢化・中央集権・情報化・クリーン化(環境)・ジェンダー)
- 生活変動/生活空間の変動 1)自成的変動(ongoing process)・・・ライフステージやライフサイクルにいう社会的関係・社会的役割・社会的地位に規定される自然な変動
- 個人計画(perspnal planning) ・・・個人が積極的・意図的に選択して展開する計画的な個人生活
- 突発的な変動(unexpected process)・・・突発的な心身機能の変調や予期せざる生活様式の変更や生活の破綻など、個人のコントロールを越えた意図せざる生活危機 *活動領域・選好度項目<国民生活選好度調査>対応表(ひとの暮らし)
- 「ひとの望ましさ」
- 「社会福祉論」・・・アメニティー(amenity)や快適性にかかわり数量化・制度・システムの最適性に言及し、社会保障・社会資本・環境問題などの「望ましさ」に関する社会計画・政策概念あるいはそのハード面を担う目標・手段を包括する概念 福祉(well-fare)・・・満足のいく(well)暮らし(やっていく:fare) 人としての望ましさ(well-being)をもたらす社会
- 「クオリティ・オブ・ライフ」・・・物質から脱物質に向かう快適性(amenity)にかかる数量化・制度・システムの最適性や質的価値を内包した社会福祉にいう「望ましさ」が実現された状態を示す高次の欲求として表現される。<ただし、クオリティー・オブ・ライフは極めて個人的な生活経験に規定される質的側面や状態を強調するもので、社会福祉にいう政策概念は含まない>
- 「消費論」・・・消費財の量的欲求・感性欲求・表現欲求
- 社会計画の必然と目標(国民生活指標:資料3)
- 人々の「潜在能力」を高め、当該社会への適応を可能にするために
- 当該社会の「潜在能力」を高め、人びとの可能性を包含した社会システムを構築す るために
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4.障害・障害者の概念を巡る課題
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- 「障害者の権利宣言」(第30回国連総会:1975年)
「障害者という言葉は、先天的か否かにかかわらず、身体的または精神的能力の欠如のために、普通の個人または社会生活に必要なことを、自分自身で完全、または部分的に行うことができない人のことを意味する」
- 世界保健機関(WHO:1980)の定義(資料4参照)
- 日本の法律では・・・
- 身体障害者・・・「身体障害者福祉法(1949:昭24)→2000.6.」
- 知的障害・・・「知的障害者福祉法(1960:昭35)→2000.6.」
- 精神障害・・・「精神衛生法(1950:昭25)」→「精神保健および精神障害者福祉に関する法律(1995:平7)→2000.6.」・・・約220万人が推定 *大阪市内:身体障害の人(約7万人)/知的障害の人(約1万人)/精神障害の人(約3千人) 4)これらの定義(社会通念)がもっている障害者観や決めつけ:障害者像/障害者観
- 健常者と障害者(the handicapped)
- 生物的な機能や能力が欠損している人(the disabiled)
- 特殊な人(special・abnormal)
- 社会の標準・規範から逸脱した人(deviation)
- 社会的弱者・救済すべき人・憐れむべき対象者(pity)
5)障害(impairment)に伴う<生きにくさ>(社会的障害・生活危機)
- ライフサイクルから
- 発症年齢から・・・随伴するトラウマ(精神的外傷:trauma/心的外傷後ストレス 障害(PTSD:post traumatic stress disorder)
- 障害者としての役割期待/役割実行・・・法定障害者とスティグマ(烙印:stigma)
6)障害は社会が作るという考え方
「障害者に関する世界行動計画」 (1982年) /国連・障害者の十年(1983〜1992) 「handicapは、障害者をとりまく環境のあり方から生まれるもので、他の市民が利用で きる社会の種々のシステムについて、障害者の利用を妨げる文化的・物理的・社会的 障壁(バリアー)に障害者自身が実際にぶつかった時に生じる。handicapとは、他の人々と平等に社会生活に参加する機会を喪失または制約されることである」
7)世界保健機関(WHO:1997)による障害者の再定義(資料4参照)
8)ひとの機能(functioning)<今、ここに生きている私>(資料5参照)
- 今・・・・・・さまざまな経験を蓄積しながら過去から未来に向かう現時点
- ここに・・・・環境/自然環境・地理的環境・社会的環境(文化的・制度的環境)
- 生きている・・外部環境と生活体内部の生理的機構との間に相互作用があること
- 私・・・・・・人類としての普遍的な要素と特定の両親の資質とを受け継いだ他の誰でもない独自の生活体(organization) →自分自身の障害と出会う/みんなが来た道・これから行く道 →生きとし生ける人間の生物的存在としての蓋然
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国際リハビリテーション協会(RI)2000年代憲章(仮訳)
私達は、あらゆる社会のすべての人々の人権が認められ、保護されるようにするとい う決意をもって2000年代を迎える。本憲章は、この構想を現実へと変えていくことを宣 言するものである。 基本的人権は世界のどの部門の人々についても未だに日常的に否定されており、その 中には推定6億人にのぼる障害のある児童、女性、男性が含まれている。私達は、障害 のある人々にとって機会均等等が十分な理解に基づいた政策や法律のもたらす当然の結 果として実現され、社会のあらゆる側面において完全に統合(インクルージョ ン)され る世界の実現を求めている。 20世紀における科学的および社会的な発展によって一人ひとりの人生の個別的かつ侵 すことのできない価値に対する理解は深まった。しかしそれでも、無知や偏見、迷信、 そして恐れが障害に対する社会の反応・対応に影響を与え続けている.2000年代には私 達は、障害を多様性のある人間がもつ普通の部分として受け入れなければならない。統 計的には、どの社会でも少なくとも10%の人が先天的に又は後天的に障害をもち、4家 族のうち1家族はその家族の中に障害のある人がいるのである。中略 2000年代は、生活のすべての側面において障害のある人々の完全なエンパワメント とインクルージョンを支援することによって、障害のある人々の権利を保障する社会に 変えていくことをあらゆる国の目標としなければならない。
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5.現代の葛藤<グローバリゼーション・構造改革>と向きあう
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- 万人のための社会へ(toward a society for All)(国連事務総長報告:1994)
- 包摂社会(inclusive society)<イギリス・ブレア首相政治姿勢:第三の道>排除(exclusion)の理論を超えて包摂(inclusion)社会を展望する
Anthony Giddens“The Third Way-The Renewal of Social Democracy”
「第三の道−効率と公正の新たな同盟」佐和隆光訳,日本経済新聞社,1999
よく知られているように、旧左派の「ゆりかごから墓場まで」の完璧な福祉国家が財政赤字拡大の元凶としてそのあり方がどの国でも問われるようになったが、これまでの福祉制度が様々な問題点をはらむことを認めた上で(だから)福祉国家を解体せよと言うのではなく、だからこそ福祉国家を再建しようと言うのである。
資金ではなくリスクを共同管理しようというのが福祉国家である。ここで言う「リスク」は多岐多様であり、従来の福祉がカバーしてきたリスクは、そのごく一部分を占めるにすぎない。そしてまた、かつてイギリスの福祉国家をデザインするのに功あったウィリアム・ベバリッジが宣戦布告した、不足、貧困、病気、無知、不潔、怠惰等々、社会のネガティブな項目ひとつひとつをポジティブな対応物に置き換えることによって、ポジティブ・ウェルフェアー国家をつくること、すなわち、「不足を自主性に、病気を健康に、無知を(一生涯にわたる)教育に、惨めを幸福に、そして怠惰をイニシアティブ」に置き換え、それらを奨励する方便として福祉を位置づけるべきである。
「第三の道」の政治は、平等・不平等を所得格差という量的尺度に還元したりはせ ずに平等を包含(inclusion)、不平等を排除(exclusion)と定義する。最も広い意味での包含とは市民権の尊重を意味する。(中略)またそれは、機会を与えること、そして公共空間に参加する権利を保証することをも意味する。教育、医療、保育等のサービスを受ける権利を万人に保証し、学校教育からのドロップアウト等の「排除」をできるだけ防ぎ、極度の貧困を撲滅することが「包含」としての平等にほかならない。「政府の三つの優先課題を挙げれば、トニー・ブレアが『教育、教育、教育である』と述べたように、教育改革が最優先の課題とされなければならない。「排除」を防ぐための唯一無二の施策が公教育の充実だからである。教育投資のねらいは「可能性の再分配」(同上)をかなえるためである。すなわち、市民の一人ひとりに十分な教育を施すことにより、与えられた機会を十分に生かす可能性(潜在的能力)を平等に与えようというわけである。
<参考文献>市場主義の終焉−日本経済をどうするのか− −効率と公正の両立をめざして/日本経済再生の処方箋 佐和隆光 岩波書店 岩波新書 2001.1.26.
『 21世紀のマニフェスト−日本をどのように変えるか−グローバリズムに対抗する 戦略』世界編集部 岩波書店 2001.3.21. 金子 勝 神野直彦 諸富 徹編 私たち三人は、このシリーズを連載するにあたって、つぎの四点だけを強調した。 第一点は、これまでの腐り切った対立軸を打ち壊し、ポスト冷戦体制という新しい状況の中で、これまでにない新たな座標軸をつくり出すことである。いまの混迷状況を見ればわかるように、旧来の座標軸は何ら役立たないどころか、時代をますます混迷させているからだ。 第二点は、四〇代以下の若い世代を中心にして企画を運営することである。時代の閉塞を打ち破る今こそ「世代革命」が必要だからだ。 第三点は、リベラル派・市民派・進歩派・左派など旧来からあった区分と互いの排除性を徹底的に解体していくことである。残念ながら、日本ではこれらの批判精神を持つ人びとほど、相互に排除性が強かった。皮肉だが、最も「会社」的なのがこれらの人びとだったのだ。人にレッテルを貼って済ますほど楽なことはない。その瞬間に相手の主張について何も考えなくて済むからだ。私たちは、こうした「精神の怠惰」を徹底的に打ち壊す。とっくに時代は変わっているのだ。 第四点は、現実にかかわる積極的で新しい提言を行うことである。アカデミックな研究という営為は、それ自体としての価値を持っている。単なる価値観の表明は慎まなければならない。だが他方で、私たちの研究は社会と完全に切り離されたものではありえない。時代認識との緊張関係を忌避して自分のフィールドだけに閉じこもってしまうことは、ある意味でたやすい。私たちは敢えて、この時期だからこそ両者の問にある緊張関係に正面から挑みたいと思っている。 私たちは、この社会の未来を担っていく人びとにまず語りかけたい。もちろん、私たちはいたずらに世代間の対立を撮るつもりなどない。団塊の世代以上の人びとには自らの世代の狭い利害関係を超えて、若い人びとに対してどのような社会を残すべきなのか真剣に考えてもらいたいと思っている。そして、できるならば、私たちを、そしてやがて私たちを乗り超えていく若い世代を後押ししてほしいと願っている。
3)総合福祉政策論の視角<ポスト福祉国家の社会福祉・社会保障政策> 丸尾直美(2000)
M=市場(経済)システム Po=政治システム X=混合システム
Ph=贈与(貢献)システム C=習慣(家族)システム IE=国際環境
NE=自然環境 |